酒食和楽通信


<酒にまつわる楽しい話>

 
ドイツの居酒屋で飲むアップルワイン
 蒸留酒でなく醸造酒でもない、それでもワイン




 フランクフルト。ドイツには2つのフランクフルトがある。ポーランドとの国境に近いところにあるフランクフルトと、ここで紹介するフランクフルト・アム・マイン。分かりやすく言えば、「マイン川のほとりにあるフランクフルト」である。ほとんどの場合、「フランクフルト」と言えば、この地を指す。

 マイン川の本流がライン川。マインツからコブレンツにかけて、特にローレライやリューデスハイム辺りはドイツワインの一大産地である。川の両面にはブドウ畑が延々と続き、沿道の多くのレストランでは、壁の一面にブドウの種蒔きから収穫に至る農作業の壁画が12枚装飾されており、その最後は必ず税務署へ税金を納めに行く絵で完結されている。

 ワインを注文すると、いくつかのワインを1本ずつ、ぶどうの産地や生産者、生産年などをコト細かく説明されて試飲。そこでようやく目指すワインにありつけるのである。あまり酒に強くない人は、これだけで十分な量を飲んでしまう。試飲の方法を知らなければの話しではあるが。

 ドイツと言えばまずビール。ドイツの村ごとにひとつの教会とひとつ以上のビール会社があると言われているくらいビールはメーカーも種類も多く、よく飲まれている。ホテルに入って最初にテレビのスイッチを入れると、宿泊者の名を入れた映像が迎えてくれる、ちょっとしたサービスがあり、この画面の中心はやっぱりビールだ。


 今回のお話しはアップルワイン。フランクフルトの中心からマイン川を隔てた一角に、「ザクセンハウゼン」というエリアがあり、そこは食事とともに美味しいアップルワインを飲ませてくれる店が多い。

 
老若男女を問わず、小学生くらいの女の子も一緒に食事を摂る。さすがに子供達に酒は飲ませないが、大人はビールやアップルワインを飲みながら、アコーディオンを弾き、歌いながら客席を回る店員(あるいはプロのアコーディオン奏者かも)に乗せられて、陽気な時間が過ぎていく。冬の日没が早い代わりに、夏の夜は9時、10時が最盛期だ。

 フランクフルトの近郊ではリンゴが多く収穫され、こういった酒場の裏ではリンゴを山積してワインを製造しながら客に飲ませる。
 アルコール分が22度のアップルワイン、日本では甘味果実酒・混成酒類に分類され、蒸留酒や醸造酒に別の酒類や物品を加えたりしたものである。蒸留酒でも醸造酒でもない。

色はワインというよりブランデーに近く、オレンジやレモンジュースで割って飲む人も多い。リンゴが原料なのに他の果物と合うのも面白い。


 店のテーブルに出てくる器は、日本の徳利とは少々違い、取っ手のついたかなり大型のボトルになみなみとアップルワインを入れて、グループ客の真ん中にドンと置く。
 グラス
に注ぐ時の爽快感は格別だ。ジャガイモやソーセージ、あるいはイクラなどをつまみに飲むアップルワイン。こういったところでは酒を飲むというより、その雰囲気を味わいながら夜のひとときを陽気に過すのがいい。日本ではウイスキー会社やビール会社、各社からそれぞれ販売されている。

(ケイ・ワン・プロジェクト代表取締役・国土 敏明)